ホルムズ海峡開放へ 石油価格はどうなる?
【けさ知っておきたいNEWS】
グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
アメリカとイラン
戦闘終結に向けた覚書に合意
昨日 アメリカとイランが戦闘終結に向けた覚え書きに合意しました。
19日にスイスで式典が行われる見通しとなっていて、ロイター通信は、合意された覚書にはイランはすべての商船に対してホルムズ海峡を直ちに開放するとあると報じていました。
そして早くも市場は反応しています。
世界の原油取引価格の指標のひとつであるWTI先物価格は、戦闘が始まる前は1バレル60ドル台中盤で推移していました。
しかし、戦闘開始後に一気に上昇し、その後も乱高下が続いてきました。
昨日は一時、1バレル80ドルを割り込む場面もあり、3カ月ぶりの安値水準まで戻りました。
ただし、戦闘前の水準に戻ったわけではありません。
仮にホルムズ海峡が開放されたとしても、石油価格がすぐに大きく下がるとは限らないと専門家は指摘しています。
ホルムズ海峡が開放されても
原油価格は下がりにくい3つの要因
石油市場に詳しい専門家によると、仮にホルムズ海峡が開放されたとしても、年内に石油価格が大きく下がる可能性は低いといいます。
その要因は主に3つ考えられるといいます。
価格が下がらない要因1つ目は「安全性」の問題です。
イランはこれまで、ホルムズ海峡に機雷を設置したと発表してきました。
もし実際に機雷が設置されていた場合、その除去には数や種類によって最長6カ月かかる可能性があります。
海運会社にとって最も重要なのは安全です。
航行の安全が完全に確認されなければ、タンカーなどの船舶は簡単には通行を再開できません。
そのため、海峡が形式的に開放されたとしても、実際の物流回復には時間がかかるとみられています。
石油関連施設の被害で輸出能力にも不安
価格が下がらない要因2つ目は「輸出能力」の問題です。
ホルムズ海峡を経由する石油輸出量は、事実上の封鎖前には1日あたり約2000万バレルでした。
しかし、イランが湾岸諸国の石油関連施設などを攻撃したことで、施設に被害が出ており、現在の石油精製能力は不透明な状態です。
ただ専門家によると、油田そのもののような致命的な損失につながる施設は攻撃されていないものの、ナフサなどを作る精製施設が被害を受けているといいます。
こうした関連施設の修復には、国際機関などが数年かかる可能性を指摘しています。
そのため、輸出量は完全には戻らず、2割~3割程度は回復しきれない可能性があると予想されています。
たとえ海峡を通れるようになっても、そもそも輸出できる量がすぐに元通りにならなければ、原油価格は下がりにくくなります。
各国の備蓄回復も価格低下を遅らせる
価格が下がらない要因3つ目は「備蓄の確保」です。
ホルムズ海峡が事実上封鎖されていた間、中東以外の産油国がすぐに石油を増産することは難しい状況でした。
増産には人員や設備投資が必要で、短期間では対応できないためです。
そのため、多くの国は備蓄を放出して対応してきました。
日本も2月末の時点から国内備蓄を44日分放出してきました。
今後、ホルムズ海峡の封鎖が解除され、石油輸出が回復した場合、各国は減った備蓄を再び積み増す動きに出るとみられています。
ただし、急激に買い戻すと価格上昇を招くため、時間をかけて少しずつ備蓄を回復させることになりそうです。
つまり、通常の需要に加えて備蓄用の需要も続くため、世界全体の石油需要はすぐには減りません。
このことも、原油価格が長い間下がりにくい要因になります。
ナフサ価格と物価上昇にも影響
原油価格の動きは、食品トレーや包装材などの原料となるナフサ価格にも影響します。
ナフサ価格はピークアウトしつつあるものの、物価上昇は少なくとも年末まで続く見込みだと専門家は見ています。
ナフサはプラスチック製品や日用品の原料として幅広く使われているため、価格が高止まりすれば、食品包装や生活用品の価格にも影響が出ます。
原油価格がすぐに落ち着かない限り、私たちの暮らしにも負担が残る可能性があります。
WTI先物価格は一時80ドルを割り込み、3カ月ぶりの安値水準まで戻りました。
しかし、ホルムズ海峡が開放されたとしても、石油価格がすぐに大きく下がるとは限りません。
機雷除去などの安全確認、石油関連施設の修復、各国の備蓄回復という3つの要因があり、原油価格は年内も下がりにくい状況が続く可能性があります。
さらにナフサ価格を通じて、食品トレーや日用品などの値上がりにも影響が残りそうです。中東情勢の行方は、今後も私たちの生活に直結する重要な問題といえます。
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