草間彌生 世界が熱狂水玉アート
「クサマズ・ポップ」開催中!
【GOOD!いちおし】
グッド!モーニング「Good!いちおし」のコーナーで紹介された内容をご紹介しています。
水玉やかぼちゃで知られる草間彌生さん。
世界を魅了するポップな作品は、実は苦しみとの戦いから生まれました。
創作の原点、水玉に込めた思い、そして最新作に迫りました。
草間彌生の水玉とかぼちゃに込められた思い
水玉やかぼちゃのモチーフで知られる前衛芸術家・草間彌生さん。
カラフルでポップな作品は世界中の人々を魅了していますが、その創作の原点には、幼い頃から向き合ってきた苦しみとの戦いがありました。
東京・早稲田にある草間彌生美術館で開催中の「クサマズ・ポップ」(8/30まで)、展示された作品から世界的芸術家草間彌生さんの軌跡をたどり、草間さんの代表的なモチーフである水玉やかぼちゃ、そして最新作に込められた思いが紹介されました。
草間さんは2014年、イギリスの美術専門誌「The Art Newspaper」で、世界で最も人気のあるアーティストに選ばれたこともある世界的な芸術家です。
カラフルかつポップな作品で知られる草間さんの創作活動の原点、それは幻覚という恐怖との闘いでした。
幻覚への恐怖から生まれた水玉の表現
草間彌生さんは、幼い頃から絵を描くことが好きでした。
朝から夜暗くなるまで絵を描き、土日や祝日も描き続けるような生活を長く続けていたといいます。
一方で、子どもの頃から花が自分に語りかけてくる、水玉が目の前にいっぱいに広がる、そんな幻覚や幻聴に苦しんでいましたが、怖い体験を乗り越えるために、草間さんは見えたものを絵に描きとめるようになりました。
10歳の頃に描いた作品には、この時からすでに人物の顔に水玉が描かれていました。
つまり水玉は、最初からかわいらしい装飾として生まれたものではなく、自分を苦しめる恐怖や強迫観念と向き合う中で生まれた表現だったのです。
しかし、草間さんにとって水玉は、やがて愛と平和のシンボルへと変わっていきます。
草間さんはインタビューで、自分自身もひとつの水玉であり、地球や宇宙も水玉だと語っています。
一つ一つは小さな円形でも、いくつもの円形が集まれば大きな力になる。
それは人間も同じだという思いが、水玉には込められ発信し続けています。
かぼちゃは人生の伴侶。少女時代の記憶が原点
水玉と並んで草間彌生さんを象徴するモチーフが、かぼちゃです。
草間さんは長野県松本市で、種や苗を育てて販売する家に生まれました。
そのため、幼い頃から植物に親しんでいたといいます。
中でも強く心を引かれたのが、小学生の頃に祖父の畑で見たかぼちゃでした。
かぼちゃの造形とか独特の手触りに特別な魅力を感じたそうです。
草間さんは、かぼちゃについて「私がカボチャに造形的興味を受けたのは その太っ腹の飾らぬ容貌なのだ」「南瓜は私の人生の伴侶です」と語るほど深い愛情を持っています。
大小さまざまな水玉をまとったかぼちゃの作品は、草間さんの代表作として世界中で知られるようになりました。
また、草間作品には水玉だけでなく、網目模様も多く登場します。
無限に反復・増殖する網目や水玉が目の前を覆いつくすことで、自分自身がその世界に埋もれていくような感覚を、草間さんは「自己消滅」と呼びました。
「自己消滅」の世界とは!?
草間彌生美術館の展示では、ボックスをのぞき込むと水玉が無限に続くように見える作品も紹介され、草間さんの頭の中の世界を体感できるようになっています。
ニューヨークで広がった草間彌生の表現
1957年、草間彌生さんは日本での活動だけに満足せず、28歳でアメリカ・ニューヨークへ渡りました。
そこで発表したのが、画面全体を網目で埋め尽くす「無限の網」という作品です。
この作品は、当時のアートシーンに強い衝撃を与えました。
同じ時期、アメリカではポップアートが大きな流れとなっていました。
大量生産の商品や日常にあるものをモチーフにした表現で、アンディ・ウォーホルらが活躍していた時代です。
草間さんもウォーホルらと交流しながら、独自の表現を深めていきました。
展示では、エアメールのラベルをキャンバスいっぱいに貼り付けた作品も紹介されています。
一見するとポップアートに近い雰囲気がありますが、草間さんの作品は単に現代社会を映すものではありません。
あくまでも自分の内面から湧き上がる創作衝動を表現したものであり、そこに草間さんならではの独自性があります。
草間さんの作品は美術館の中にとどまりません。
1966年には、ヴェネチア・ビエンナーレの会場で、大量のミラーボールを敷き詰めた空間全体での作品「ナルシスの庭」をゲリラ的に発表し、その場で作品のミラーボールを1個2ドルで販売するというパフォーマンス、ハプニングを行い、美術が高値で取引される資本主義へのアンチテーゼとしてアイスクリームやホットドッグと同じ値段で販売し、アートを日常的ものとしてとらえなおそうとする思いがありました。
今も描き続ける草間彌生の命と愛のメッセージ
1973年に日本へ帰国した草間さんは、当初 アメリカでの先鋭的な活動を十分に評価されませんでした。
しかし、自分の芸術を貫き続けたことで、やがて日本でも高く評価され、数々の賞を受けるようになります。
草間さんの作品には、試練への感謝、人類愛、命への賛美といったメッセージが込められています。
現在も精力的に作品を生み出し続けており、自分の死後も作品が人々に大きなメッセージを残していくことを願っていると語っています。
2009年から2021年にかけて制作された「わが永遠の魂」シリーズでは、水玉や網目、目のようにも見える模様、靴をモチーフにした作品など、多彩な表現が展開されています。
靴のモチーフは、幼い頃に好きだった童謡「赤い靴」の記憶がもとになっているそうです。
水玉、かぼちゃ、靴。草間彌生さんの作品には、幼少期の体験や恐怖、祈り、愛が深く結びついています。
ポップで明るい色彩の奥には、自分自身と向き合い続けてきた人生そのものが刻まれていました。
草間さんの作品を見ることは、ただ美しいアートに触れるだけでなく、苦しみを創造へと変えてきた一人の芸術家の歩みを知ることでもあります。
開館時間:午前11時~午後5時30分
日時指定の完全予約・定員制(各回90分)
チケットは美術館ウェブサイトのみで販売
開館日:木・金・土・日曜日および国民の祝日
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