北大西洋に謎の”青い穴” 日本にも影響?
【けさ知っておきたいNEWS】
テレビ朝日グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
北大西洋に、周囲とは反対に気温が低下している「青い穴」のような地域が現れています。
CNNがNASAの画像を引用して伝えたもので、世界全体ではこの100年ほどで気温が上昇している一方、グリーンランド、アイスランド、イギリス付近では1℃以上低下している場所があります。
この現象は「Warming Hole(温暖化の穴)」と呼ばれています。
地球温暖化が進んでいるにもかかわらず、一部だけ気温が下がるという、一見すると矛盾した現象です。
しかし、気象に詳しい三重大学大学院の立花義裕教授によると、これも温暖化によって引き起こされる可能性があるといいます。
原因は「AMOC」の弱まり
大きな要因と考えられているのが「AMOC(大西洋南北熱塩循環)」の変化です。
AMOCは、大西洋を南北に巡る巨大な海流の仕組みです。
南から北へ温かい海水を運び、北大西洋で冷やされた海水が深く沈み込み、再び南へ戻るという循環をしています。
海水が北へ流れる途中では水分が蒸発し、塩分濃度が高くなります。
塩分が濃い海水は重くなるため、北大西洋で沈み込みます。
この沈み込みが、海流を動かす大きな原動力となっています。
グリーンランドの氷が溶けると
どうなる?
ところが地球温暖化によってグリーンランドの氷が溶け、大量の淡水が北大西洋に流れ込むと、海水の塩分が薄くなります。
塩分が薄い海水は軽くなるため、これまでのように深く沈みにくくなります。
その結果、海流を動かす力が弱まり、AMOCの循環そのものが弱くなる可能性があります。
AMOCが弱まれば、南から北大西洋へ運ばれる温かい海水が減ります。
すると、グリーンランドやアイスランド、イギリス周辺では気温が下がり、「青い穴」のような低温地域ができるという仕組みです。
一方で、本来なら冷たい海水が流れていく地域では、その流れが弱まることで、さらに温度が上昇する可能性があります。
ヨーロッパでは寒冷化の可能性も
一部の研究では、もしAMOCが大幅に弱まったり停止したりした場合、世界各地の気候に大きな影響が出る可能性が指摘されています。
ヨーロッパでは、これまで運ばれてきた暖かい海水が減ることで、冬の寒さが厳しくなる可能性があります。
一方、アフリカなどでは降水パターンが変化し、夏の干ばつが深刻になる恐れもあります。
つまり、地球温暖化によって世界中が均等に暑くなるのではなく、ある場所ではさらに暑くなり、別の場所では逆に寒くなるなど、気候の差が極端になる可能性があるのです。
日本にも猛暑・豪雨・豪雪の影響
この北大西洋の変化は、日本から遠く離れた場所で起きていますが、無関係ではありません。
気象に詳しい立花教授によると、暑い地域と寒い地域の気温差が大きくなると、上空を流れる偏西風の蛇行が激しくなる可能性があります。
偏西風が大きく蛇行すると、日本付近でも暑い空気や冷たい空気が長期間とどまりやすくなります。
その結果、記録的な猛暑や集中豪雨、大雪など、極端な気象現象が増える恐れがあります。
北大西洋の海流変化が、日本の猛暑や豪雨、豪雪に間接的な影響を与える可能性があるということです。
きょうのNEWS解説まとめ
北大西洋で確認されている「Warming Hole」は、地球温暖化が止まった証拠ではありません。
むしろ、温暖化によって海流のバランスが変化した結果、一部の地域だけ気温が低下している可能性があります。
特に注目されているのが、大西洋を循環するAMOCの弱まりです。
グリーンランドの氷が溶けて大量の淡水が流れ込めば、海水の沈み込みが弱まり、世界規模の海流や気候に影響する恐れがあります。
日本でも偏西風の蛇行を通じて、猛暑や豪雨、豪雪がさらに激しくなる可能性があります。
遠い北大西洋で起きている変化も、私たちの暮らしとつながっているのです。
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