「備蓄米」買い戻し要請
今後のコメ価格は?
【けさ知っておきたいNEWS】
グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
コメの販売価格が下落しています。
今月5日までの1週間で、5㎏あたりの平均価格は3458円となり、1年半ぶりに3500円を下回りました。
いわゆる「令和のコメ騒動」とも言われた価格高騰では、今年1月に5㎏ 4400円を超える過去最高値を記録しましたが、そこからは1000円近く値下がりしたことになります。
ただ、価格が下がってきた背景には、過去最大規模の「コメ余り」があります。
農林水産省によると、5月末時点の民間在庫は223万トンで、前の年の同じ時期に比べて51%増えました。
これは2014年に並ぶ過去最大規模です。では、なぜこれほど多くのコメが余っているのでしょうか。
コメ価格は下落も
まだ高いという消費者感覚
コメの価格は、今年1月のピーク時から比べると大きく下がっています。
しかし、以前は5㎏2000円前後で買えていた時期もありました。
その頃を知る消費者にとっては、3500円を下回ったとはいえ、まだ高いと感じる人も少なくありません。
そのため、価格高騰をきっかけにコメを買う量を減らしたり、パンや麺類など別の主食に切り替えたりする「コメ離れ」が進んだとみられています。
需要が落ち込めば、当然ながら在庫は増えやすくなります。
つまり、コメの価格が下がっている背景には、単に供給量が多いだけでなく、高値によって消費者の買い控えが起きたことも関係しているのです。
備蓄米の大量放出で新米が余る構図に
もうひとつの要因が、去年3月から始まった備蓄米の大量放出です。政府はコメ価格の高騰を抑えるため、備蓄米を市場に放出した結果、備蓄米の量は放出前の3分の1ほどまで減少しました。
一見すると、放出された備蓄米がそのまま余っているようにも思えます。
しかし実際には、備蓄米はほぼ消費されているといいます。
その一方で、本来なら売れていくはずだった新米が余ってしまっているのです。
備蓄米によって一時的に供給が増えたことで、価格の上昇は抑えられました。
しかし、その分だけ新米の販売が伸びず、現在の米余りにつながっているという構図です。
今後は5㎏3000円を切る可能性も
東京大学の鈴木宣弘教授は、コメ余りの状況が続けば、今後コメ価格が5㎏3000円を切る可能性もあると指摘しています。
消費者にとっては、価格が下がること自体は歓迎したい話です。
実際、家計の負担が増える中で、毎日食べるコメが安くなるのは大きな助けになります。
消費者の本音として「2500円ぐらいで買えるとうれしい」という声も聞かれ、かつての価格感覚からすれば5㎏2500円前後を望む人は多いのかもしれません。
しかし、価格が下がりすぎると今度は生産者側に深刻な影響が出ます。
円安や中東情勢の悪化などによって、燃料費や肥料代、資材費などの生産コストは高止まりしているため、コメ価格が下がり続ければ、農家の経営が立ち行かなくなる恐れがあります。
農家にとって
3500円が経営維持の目安
農家の経営を維持するためには、5㎏ 3500円程度がひとつのボーダーラインとされています。
3000円を切るような水準になると、農家にとってはレッドラインに近づくといいます。
こうした中、JA福井県中央会は、今年秋に収穫される新米の価格下落を懸念し、政府に対して緊急要請を行いました。
地元議員の稲田朋美氏を通じて、新米の流通量を抑えるため、政府が余った新米を買い入れ、備蓄米として補充するよう求めたのです。
もともと備蓄米は96万トンありましたが、大量放出によって3分の1程度まで減りました。
JA側は、減った分を新米で早期に買い戻し、備蓄量を元に戻してほしいと要望しています。
消費者と生産者の間にある
1000円の差
鈴木農水大臣も、備蓄米の買い戻しについて総理官邸に打診しています。
買い戻しが行われれば、新米の流通量が抑えられ、価格の下落を防ぐことができます。
農家にとっては、経営を守る効果が期待できます。
一方で、政府側は慎重です。
コメ価格が高止まりすれば、物価高対策に逆行しかねないためです。
消費者は安く買いたい。
一方で、生産者は経営を維持するために一定の価格を保ちたいという間には大きなギャップがあります。
鈴木教授は、消費者が望む価格は5㎏2500円程度、農家が経営を維持できる価格は3500円程度とし、その差はおよそ1000円あると指摘しています。
この差を政府が生産者への補助などで埋めていく必要があるのではないかという見方を示しています。
今日のNEWS解説まとめ
コメ価格は1年半ぶりに5㎏ 3500円を下回りましたが、その背景には過去最大規模のコメ余りがあります。
高値によるコメ離れや、備蓄米の大量放出によって新米が余ったことが、価格下落につながっています。
消費者にとってコメが安くなるのはありがたい一方、農家にとっては価格下落が経営悪化に直結します。
買う側が望む2500円前後と、生産者が維持したい3500円前後の間には大きな開きがあります。
今後は、備蓄米の買い戻しや生産者への補助などを通じて、消費者の負担軽減と農家の経営維持をどう両立するかが大きな課題になります。
コメ価格の行方は、家計だけでなく、日本の農業の将来にも関わる重要な問題といえそうです。
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