ロシアが飛び地巡りNATOに”核の脅し”なぜ
【けさ知っておきたいNEWS】
テレビ朝日グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
ロシアがNATOに対し、飛び地のカリーニングラードを切り離すような動きがあれば、核兵器の使用も辞さないと警告したことが分かりました。
ロイター通信によると、ロシアはNATOに送った文書で、カリーニングラードを孤立させる試みがあれば「核兵器を含むあらゆる手段」を使う用意があるとしています。
カリーニングラードは
ロシアの「飛び地」
カリーニングラードはバルト海に面し、ロシア本土から離れた場所にあります。
ポーランドとリトアニアに挟まれ、人口はおよそ100万人です。
中心都市はかつてドイツ領の「ケーニヒスベルク」と呼ばれていました。
第二次世界大戦でドイツが敗北した後、ソ連に編入され、1946年に現在のカリーニングラードという名称になりました。
その後、バルト三国などがソ連から独立したため、ロシア本土と陸続きではない「飛び地」になりました。
ロシアにとって重要な軍事拠点
カリーニングラードは、ロシアにとって安全保障上きわめて重要な場所です。
ロシアのミサイル、防空システム、海軍戦力などが配置され、バルト海やヨーロッパ北部に軍事力を展開する拠点になっています。
一方で、周囲をNATO加盟国に囲まれているため、紛争が起きた場合には補給が難しくなるという弱点もあります。
このためロシアにとっては「守らなければならない重要拠点」であると同時に、NATOから見ればロシア軍の動きを警戒する最前線でもあります。
NATOのアキレス腱 スバウキ回廊
カリーニングラードの近くで特に重要なのが、「スバウキ回廊」と呼ばれる地域です。
ポーランドとリトアニアの国境付近にある約100㎞の細長い地域で、バルト三国と他のNATO加盟国を陸路で結ぶ重要なルートです。
一方にはカリーニングラード、もう一方にはロシアの同盟国ベラルーシがあります。
もしロシア側がこの地域を遮断すれば、リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国はNATOのほかの加盟国から陸路で分断される可能性があります。
そのため、スバウキ回廊はNATOの「アキレス腱」と呼ばれることもあります。
きっかけはNATOの軍事活動
今回ロシアが強い警告を出した背景には、カリーニングラード周辺でのNATOの軍事活動があります。
ロイター通信によると、8月中旬にはNATO加盟国の多数の航空機が参加し、カリーニングラード周辺で、通信やレーダー、防空網を遮断できる能力を示す作戦が行われました。
ロシアはこれを、自国の重要軍事拠点を無力化することを想定した動きと受け止め、強く反発しているとみられます。
一方、NATO側は「防衛同盟であり、ロシア領への脅威となる演習ではない」と説明しています。
NATOのルッテ事務総長も、ロシアに対して核による威嚇をやめるよう求めています。
なぜロシアは「核」という言葉を使うのか
ロシアはウクライナ侵攻を続けており、NATOとの直接衝突は避けたい立場です。
そのため、カリーニングラードをめぐって実際の軍事衝突に入る前に、「核兵器もあり得る」と強い言葉で警告することで、NATO側の行動を抑止したい狙いがあるとみられます。
慶應義塾大学の廣瀬陽子からは、双方が相手の行動を誤って判断すれば、偶発的な軍事衝突につながる危険性が高まっているとの指摘も出ています。
きょうのNEWS解説まとめ
カリーニングラードは、ロシア本土から離れた飛び地でありながら、バルト海の重要な軍事拠点です。
一方、すぐ近くにはNATOにとって重要なスバウキ回廊があり、双方にとって安全保障上の要衝となっています。
今回のロシアの核警告は、NATOの軍事活動への強いけん制とみられます。
ただし、NATOはロシアを攻撃する意図はないとしています。
問題は、緊張が高まる中で双方が相手の行動をどう受け止めるかです。
カリーニングラードは、ロシアとNATOが直接衝突する可能性をはらんだ、ヨーロッパでも特に危険な地域の一つとして注目されています。
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