・日本経済はこれからどうなるのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史さんは「日銀は10月の金融政策決定会合で、『2度目のYCC再修正』を決定した。長期金利は1%に迫っており、現状を追認しただけだ。日銀は異次元緩和というバラマキを続けざるを得ず、円の紙くず化はもう近い」という――。
■日銀が「長期金利1%超え」を容認した
日銀は10月30日、31日の金融政策決定会合で、YCC(イールド・カーブ・コントロール、長短金利操作)の再修正が決定した。長期金利1%を事実上の上限としていたが、1%を超える金利上昇を一定程度容認する。金融緩和の継続を堅持することも決めた。
日銀は10年国債金利の許容変動幅を±0.1%、±0.2%、±0.25%、±0.5%と順次引き上げ、7月末には「±0.5%目途」とする柔軟化を決定。1%での連続指値オペを行うと表明したことから、1%が「事実上の上限」となっていた。物価上昇への対応のようではあるが、本質的には日銀の組織防衛戦であり、戦線は後退を続けている。最終防衛ラインも突破された危険な状態に入った。
日本でも物価上昇が続いている。9月の全国消費者物価指数は、前年同月比(生鮮食品を除く)が2.8%。ガソリンなどの補助金で物価を低く抑えての2.8%である。この結果、日銀が目標としている2%を19カ月間連続で上回った。
それにもかかわらず、日銀は「まだ物価上昇が確実でない」と主張し、物価上昇を促す金融緩和政策をとっている。筆者が思うに、日銀は「緩和を堅持しているどころか加速させている」と言っていい。正確に表現するなら“緩和継続”ではなく、“緩和加速”である。
■行き着く先は「円の紙くず化」…開業以来、最大の危機
(略)
fa-calendar11/10(金) 8:17
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