千葉・佐原で360年以上続く老舗和菓子店「御菓子司 虎屋」の縁起のいいスイーツをおみやげに | ことりっぷ

江戸時代から水運が発達し、水郷の町として栄えた千葉県香取市の佐原。古い商家が残る香取街道沿いに店を構える「御菓子司 虎屋」は創業366年。店頭には19代目が復活させた虎柄の和菓子や、新たに作られた和洋菓子が並びます。冬から春にかけては、香取市産のいちご「アイベリー」を使ったスイーツも。人気観光地・佐原の素敵なおみやげ探しに立ち寄ってみませんか。
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展示された昔のお菓子作りの道具はミニ博物館のよう

昔の入口は通りに面していたが、リニューアルして駐車場側が入口に
香取市佐原は、隆盛を極めた江戸から明治時代にかけて建てられた古い商家が残されていて、レトロな町並みに魅かれた多くの観光客が訪れる町。「御菓子司 虎屋」は佐原を象徴する小野川と交わる香取街道沿いに、趣ある土蔵様式で建てられた和菓子店です。伝統的建造物群保存地区の一角にあり、周りも歴史を感じる建物が軒を連ねています。

リニューアルで明るく日差しが差し込む店内に。隣にはお菓子の工場がある
「御菓子司 虎屋」は江戸時代初期の1657(明暦3)年創業。366年の歴史を誇ります。12代目のころに香取街道の現在の位置に移転。13代目のときに火災にあい、土蔵造りになったそう。現在のご主人は19代目で、老朽化と代替わりにあわせて土蔵様式に建て替え、2021年にリニューアルオープンしました。

(左上)「御菓子司 虎屋」の入口。右の木型の中には夫婦の鯛も。探してみて (右上)店内の木型。当時の木型職人の技は見事 (左下)計量のはかりや落雁の木型を展示 (右下)明治や大正時代の配合帳
昔の落雁用の木型やお菓子製造のための配合帳、先代の家にあった七福神や鶴亀のおめでたい欄間を飾っている店内は、さながらミニ博物館のようです。お菓子を選ぶ際には、店内の展示にも注目してみてくださいね。
先々代のお菓子を復活させた看板商品

左から「とらやき」356円、「とらやきバター」388円
自慢の餡は北海道十勝産の小豆を使い、市内に鎮座する香取神社の総本社「香取神宮」の御神水で、3日かけて直火でじっくり炊き上げたもの。てんさい糖を使っていて、甘さ控えめの粒餡です。職人が美しく焼きあげたしっとりした生地と、やわらかめの粒餡の相性はぴったり。さらに餡の上に、北海道産の塩味のあるバターを乗せたのが「とらやきバター」です。この最強の組み合わせはお店で一番人気だそう。
SDGsから生まれた「とらやき」の進化系

「TORA3゜」594円はストロベリー、ブルーベリー、オレンジ、レモンの4種類。生地をカットしやすいオリジナルスプーンもつく
生クリームと国産フルーツを使用したソース、自慢の粒餡をとらやきの生地でサンドした「TORA3°」は、カラフルな見た目もおしゃれ。上から下までの層をひとすくいで食べると、フルーツの酸味ややさしい甘さの餡などがバランスよくまとまり、よりおいしく感じられます。

ショーケースに並んだ「とらやき」シリーズのお菓子。左の虎柄のお菓子が「虎スク」788円
虎屋はSDGsをかかげていて、フードロスを減らす取り組みもしています。じつは「TORA3°」の上に乗せている虎柄の丸い生地は、きれいな形にできなかった「とらやき」の生地を使っているとか。そして丸く切り抜いたときに出た周りの生地は、オーブンで焼き上げてサクサクのラスクにし、「虎スク」として販売。ロスを出さないためのアイデアが、おいしいお菓子に変換されています。
紅白のめでたいデザイン缶も人気のサブレ

「小江戸サブレ」(大)1134円、(小)530円。味は白缶がプレーン、赤缶が落花生味
缶に描かれているのはあやめの花。花の名所「水郷佐原あやめパーク」がある香取市ならではのモチーフです。食べ終わった後も缶をとっておきたくなるレトロなかわいさですよ。
季節限定のいちごのスイーツにときめく

(左)もちもちの羽二重餅がたまらない「プレミアムいちご」 (右上)いちごを2粒使った贅沢な「虎1号」 (右下)ゆるめの寒天ゼリーの中にいちごを入れた「いちごびぃる」。生クリームが泡のよう
中に餡を入れた羽二重餅の上に、大きなサイズのアイベリーを丸々乗せた「プレミアムいちご」は贅沢なスイーツです。いちごのシーズンを毎年心待ちにしているファンも多いので、この時期にぜひ佐原へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

フォトジェニックな古い建物が軒を連ねる佐原の町並み

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文:細江まゆみ 写真:加藤熊三