・29日朝のスポーツ紙は感傷的な見出しで埋め尽くされた。28日、柔道女子52キロ級で、圧倒的優勝候補だった阿部詩(24)がまさかの2回戦敗退。平野コーチにすがりつき、会場に響き渡る声で叫んだ。
「兄弟の連覇の夢が打ち砕かれ、シーは泣き崩れる…」
「詩よ、ああ、無慈悲に、呆然として、嘆き悲しむ」
このことはセンセーショナルに報じられたが、スポーツライターの津田俊樹氏は困惑した。
「試合後の石さんの態度はとても残念でした。勝者を褒めるどころか、負けたことへの悔しさを感情的に表現しただけでした。試合後、石さんは『この日のためにすべてをやってきたので、負けた瞬間に冷静でいられなかった』と言いましたが、すべてを賭けていたのは彼女だけではありませんでした。敗者に対する配慮と敬意が明らかだっただけに、石さんの態度はなおさら残念でした。」
「彼女が自分勝手で、自分の成績しか考えていないと批判されるのは当然だ。日本のメディアはそうした批判的な視点をまったく持たず、いつものように「かわいそうに」と涙ぐましい報道をし、彼女とひふみんの兄弟愛を感動的な物語として伝えるだけだ。
メディアは反発を恐れて感情論ばかり。一方で、選手が泣きながらおにぎりを食べる姿には、SNSの「かわいい」「ホッとした」などのコメントを拾って記事にする。結局、メディアは選手を商品としてしか見ていない。こうした無批判な姿勢は、スポーツそのものの品位低下につながっている。
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