現地時間8月6日、米国メリーランド州ボルチモアで開催されたボルチモア・オリオールズ対ニューヨーク・メッツの試合は、オリオールズが2-0でメッツを下しました。この試合で、オリオールズに所属する藤浪晋太郎投手が8回に4番手としてマウンドに上がり、メッツのDJ・スチュワート選手を三球三振。このスチュワート選手に投じた3球目は、時速165.1キロを記録し、三振を奪った球の速度としては球団史上3番目の速さでした。また、この1球はこれまでエンゼルスの大谷翔平投手と千葉ロッテの佐々木朗希投手がマークしていた165キロを抜いて、日本人投手最速を更新。
藤浪投手は2023シーズンからMLBに挑戦し、シーズン前半は苦戦していましたが、後半に入ってからは好調を維持。ここでは、藤浪投手の今シーズンの活躍を見てみます。
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目次
- 1. プロ入り前の藤浪選手
- 2. プロ入り後の年俸上昇期の藤浪選手
- 3. 年俸下降期の藤浪選手
- 4. MLB挑戦
- 5. オリオールズについて
- 6. 今シーズンのオリオールズ
プロ入り前の藤浪選手
藤浪晋太郎投手は、大阪府堺市生まれ右投げ右打ちの29歳で、大谷翔平選手と同期。小学1年から少年野球を始め、主に投手を務め、中学時代にはすでに140キロを超える球を投げていました。高校は大阪桐蔭高校に進み3年の春には甲子園にも出場し優勝。
この春の甲子園では全試合で球速150キロ超えをマーク。同年の夏にも甲子園で優勝し春夏連覇を達成。その年のプロ野球ドラフト会議では4球団から1巡目指名を受け、年俸1500万円で阪神タイガースに入団します。
プロ入り後の年俸上昇期の藤浪選手
阪神タイガースでは入団1年目から活躍。1年目の開幕第3戦に先発登板し、勝利することはできなかったものの、4月だけで3勝をマーク。オールスター前に6賞を挙げ監督推薦でオールスターに出場。
8月には4勝を挙げ月間MVPに選出。高卒新人が月間MVPを受賞するのは、セ・リーグでは史上2人目。結局プロ1年目は、10勝を挙げますが、これは、1967年の江夏豊以来46年ぶりとなる5人目の高卒新人10勝となり、年俸も1500万円から3倍の4500万円で更改。
プロ2年目もプロ初完投勝利、オールスター選出、と活躍し、この年の勝ち星は11勝。これは、松坂大輔以来14年ぶりの高卒1年目から2年連続の2桁勝利でした。年俸も4000万円増の8500万円で契約を更改。
プロ3年目は、侍ジャパンに選出、プロ初完封勝利、オールスター選出、ダルビッシュ有以来の高卒3年目でのシーズン200奪三振などと活躍し、シーズン14勝をマーク。年俸は倍増の1億7000万円で更改します。
年俸下降期の藤浪選手
プロ4年目の2016年は、シーズン前の右肩炎症の影響もあってか、4年連続オールスター選出や阪神の高卒新人では最速となる95試合目での通算40勝達成といったこともあったが、シーズン全体としては不振が続き7勝と、勝利数が初めて一桁。年俸もプロ入り後初めてダウンし、1000万円減の1億6000万円で更改。
その後は、プロ5年目の2017年は3勝、プロ6年目は5勝、プロ7年目は開幕2軍スタートで0勝、プロ8年目は1勝、プロ9年目は3勝、プロ10年目の2022年も3勝、とプロ入り後の活躍とは打って変わっての低迷。年俸も1億2000万円、8400万円、6300万円、6000万円、4900万円と連続ダウンが続きました。
2016年シーズンからの長期の不調は、一部からは、イップスの発症であるという声も。イップスとは、心の葛藤により、筋肉や神経細胞、脳細胞に影響を及ぼす心理的症状のことで、スポーツの集中すべき場面で、プレッシャーにより極度に緊張を生じ、無意識に筋肉の硬化を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮できない症状。藤浪投手は2016年以降、右打者の頭部付近への死球をきっかけに乱闘騒ぎを引き起こしたり、頭部死球による危険球退場を経験したりといったことからのこのような憶測が生まれました。
MLB挑戦
2023年にポスティングシステムを利用してオークランド・アスレチックスに移籍。当初は大量失点を重ね防御率が2桁になるなど目立った成績を上げることはできませんでしたが、6月以降は、19回3分の2を投げて20奪三振、防御率3・26、11試合連続無四球という成績を残します。
このことが評価されて、7月に、アメリカン・リーグ東地区で現在首位のボルチモア・オリオールズにトレード移籍。そして、8月6日のメッツ戦で日本人最高速の165.1キロを記録。三振を奪った球の速度としては、球団史上3番目の速さでした。
オリオールズについて
ボルチモア・オリオールズは、メリーランド州ボルチモアを本拠地としておりアメリカン・リーグ東地区に所属。これまでに、ワールドシリーズ優勝3回、リーグ優勝7回、地区優勝9回を記録していますが、全盛期は1960年代後半から1970年代で、近年では2014年に地区優勝をしたのを最後に長く低迷を続けています。
MLB史上歴代1位の2632試合連続出場を記録したカル・リプケン・ジュニア氏や、元読売ジャイアンツの上原浩治氏らが所属していたチーム。
今シーズンのオリオールズ
今シーズンは8月12日現在、地区1位と好調。米メディア「The Athletic」によると、オリオールズが藤浪投手を獲得した理由について、「中継ぎと先発投手に課題のあったオリオールズは、クローザーのフェリックス・バティスタと、セットアップのイェニアー・カノーの前のオプションとしてフジナミに目をつけた」また、「身長197センチのフジナミは、102マイル(約164キロ)を記録するフォーシームを武器とする。スプリッターは彼の最も得意とする球種であり、この2ヶ月でよりコンスタントにストライクを取れるようになった。カッター、スライダー、シンカー、カーブもある」と解説。
アメリカン・リーグ西地区で断トツの最下位であるオークランド・アスレチックスから、アメリカン・リーグ東地区でトップにいるボルチモア・オリオールズに、評価が好転して移籍した藤浪投手は大きな働きが期待されています。
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